クラスター

ハッタリもずっと言い続けていると、本当になることがある。
そのことならアメリカでも指折りの彼の場合、今回はそうならなかった。

去年の春、大金持ちの主人公が出てくる漫画を描いた。キャラ設定は粗雑で、台詞は矛盾だらけ。

物事にはいろんな面があるけど、ある一面だけに光を当て続けると、虫眼鏡で太陽の光を集めてるみたいに焦げ付いてくる。
だけど人と同じことを言っているのは安心だし、楽しい時もある。たぶん、教室で好きなテレビ番組の話をするみたいに。

そして絶対にこれは正しいということに飛びついて、ささやく。
だけど絶対に正しいことの連鎖が、世界をひどく矮小にしているような気もする。

もし、ハッタリばかり言う人物が国を動かす政治家であるのなら、たまったものじゃない。ツッコミの大合唱。
だけど日本ではヒール役の彼がリングから退場しても、問題の本質は彼にはないことに気づかないかもしれない。

世の中で起きることは、どんな陰謀もないのに、何となくそういうことになってしまっている時がある。

クラスター。

ライトに照らされ一箇所に集まりたがる習性を自粛したい。いつも誰かのささやきが、もっともらしく響いている。

ちから