買って帰るか　今日は買って帰らないか
今電車に揺られ　熟考している

週末もたくさん飲んだじゃないか
最近プクプクしてるじゃないか
今日も頑張ったじゃないか

人間はだまされる
自分の脳にだまされる
この高温多湿な天候
今日頑張ったという事実
今日は美味しい鯵の干物を食べるという計画

そして夕焼け雲がピンクとオレンジに染まり
台風の前とは思えない美しい空のオーケストレーション

みんなが言ってるように思える
飲んだらいいじゃないか
飲んでもいいじゃないか

でも脳だけの事
私の脳だけがそのトリックをかけてくる
そしてまたそのトリックに今日もはまろうとしている

うちの枕は窓際にある
朝日は昇るのが気が早い
私も恩恵を得て早起きをする

身体をそりかえし
逆さまに空を見る
もくもく入道雲の白いくっきり大胆な線

プードルかな
たてがみなびかせ駆ける馬かな
弾かれるのを待つバイオリンかな

こうも空が青いと
照れてしまう
うれしくてにやけてしまう

尊敬する和菓子の社長は毎朝まず掃除から始めるという
新しい働き方
ニューノーマル
言われて久しいがそれでも相容れないものがあると

窓のサンの埃
床の黒ずみ
消費者には全く見えない工場の汚れ

それぞれのお店の売れ行きはゴミを見ればわかるという
言葉には言い切れない
言葉には言い表せない

売るそのものの商品にすべて表現される
不思議なことに
何もわからない我ら消費者にもわかる
違いを作り出している