夕暮れのゆうぐれ

夕暮れをテーマに日替わりのモチーフで連想ゲームのように描いた。

はじめはグァっとするオレンジ色を背景に怪獣たちがいて、空を見てる内に、グラデーションが気になりだして、なんとかかんとか卵や不思議まで。

夕暮れのゆっくりと移ろう影に温度を感じる。

ちから

コットンの茶色

ずっと前に買ったコットンフラワーが、茶色っぽくなっている。
服やタオルの原料、白いのがコットンだと思っていたけど、これはこれで、いい色。ちょっと発見。じっと眺めて描く。

よく物事を人間に置き換えて考えてしまうクセがある。ついでに感情移入もする。このコットンだと、多分、ヒト70歳くらい。
植物みたいに年輪を重ねたり枯れることを、古くなると捉えるのなら、生まれた瞬間から「古く」なる。

そして花はじめ植物みたいに色づくことを、変化と捉えるのなら、目の前に起こることは全て更新される「未知」となる。
知らないことを確かめることが大人になることだと思って成人しても、実はその先も新しい好奇心がずっと続く。

でもそれは、もちろん人による。どうせなら古くなるのより、新鮮な世界で生きたい。
コットンの茶色みたいに。

ちから

ほら、あそこ。

ほら、あそこ。
あの橋のたもとに馬が死んでいて、人間も馬ももう違いがない、可哀想だと思った。

私の友人は私の隣でそうやって話してくれた。
友人が話してくれたおかげで、カラーセロハンを一色ずつ足していくように、角がぼろぼろになって滲んだ過去のイメージに、空気が生まれて匂いがうまれた。あたたかさも。

わたしには大切な友人が2人いる。友人というには失礼なぐらい人生の大先輩なのだけど、もう2人ともいわゆるこの世にはいない。私がアメリカから帰って来たばかりのころ、HIP (Hiroshima Interpreters for Peace)という、被爆証言を通訳したり、平和公園を英語で案内するボランティアグループに参加した。2人もそのグループに所属していた。

2人は語った。父親が焼かれたと。同級生がみんな殺されたと。真剣に考えると自分の中の熱を帯びた冷たい感情の塊が形を変えながら身体中を駆け巡るので、そしてそれはかなりのエネルギーを吸い取るので、普段はあえて起こさないようにしている。目の前の忙しさや言い訳はいくらでもある。

私のなかのその熱を帯びた塊が現れるとき、2人を思い出す。2人がいるから熱を帯びた塊があばれる。

核兵器禁止条約が今日、発効される。2人を思う。

絵 mokumoku studio

mokumoku studio ともこ