良いこともある。
オンラインで会議ができるようになって、プロ野球選手のように出張を頻繁にしなければならなかった私にとって、身体的そして時間的な負荷がかなり軽減した。
良いこともある。
いつでもどこでも参加できる。
家にいながらレクチャーを受けたり、今まで気軽に参加出来なかったセミナーやワークショップなど、オンラインであれば、とフットワーク軽く決断できる。
海外で行われているレッスンにもバーチャルであれば10分後にでも参加できる。
でも、どうしても、通訳者として乗り越えられない壁がある。それはふわふわしていて、実体がないのだけれど確実に私の前に立ちはだかり、私の動物的勘を鈍くする。話者とのコネクションが作れない。言葉以外のコミュニケーションがいかに大切だったかを教えてくれる。眉の動き、仕草。あせっているのか?どんな姿勢で話している?言葉を訳す通訳者にとって、これらの情報は不要だとも言えるが、失った今、失ったことがこの見えない壁を作り上げているのだと感じる。
そしてマスク。これは見える大きな壁だ。
パフパフ、ファファファ。
聞こえませーん。
ああ、苦しいよ。オンライン苦しいよ。
顔見て話したい。どうか人間が、この根本的な事を忘れませんように。