雨が降り始める時が好きだ
予期せず始まるシネマのように
ぽつ ぽつ ぽつ
ぽっぽっぽっぽぽぽぽぽぽぽぽぽ
曇り空があたかも
もう待てない もう我慢できない
しびれをきらして漏らし始める
天から数えきれないしずくを落とす
人々はあわて
洗濯物を取り込む
早足で目的地に向かう
いろとりどりの傘を広げる
となりの葉っぱは
待っていたわけでも
望んでいたわけでも
嫌んでいたわけでもなく
そのしずくを受け止め
ぱっ ぱっ ぱっ ぱぱぱぱぱぱぱぱ
すでに濃い緑に磨きをかける
明日また会えるね
この濃い曇り空なら
漏らすしずくを
私は吸い込む