日本の一部では例年よりも随分早く梅雨入りしたそうだ。
これから去年のような長雨が続くと思うと、世界で指折りの楽観主義者の私でさえも気が落ち込んでしまう。
最近ふと思い立ち、楳図かずお先生の名作「漂流教室」を読み返した。最後に読んでから10年以上経過していると思う。
1970年代に描かれたその作品では、ある小学校が学校ごと未来の東京に移動してしまい、変わり果てた環境の中で小学生達が必死で生き延びようとする様が表現されている。
未来の世界は、スモッグで空が覆われているため太陽の光が届かず、植物も動物も成長することができない。あたりは一面砂漠で、見つけられるものといえば、プラスチックでできた造花や、荒れ果てた地下鉄の駅などだけだ。
小学生達は、今まで雑に扱ってきた動植物や、食べずに捨てたお菓子など、当たり前のことがどんなに貴重なことだったか感じながら飢えに苦しむ。有毒ガスや自然破壊に順応し変化した生き物に襲われ、殺し合い、生きる。
劇画と呼ばれるジャンルで、あくまでドラマティックにそして部分的にコミカルに描かれている作品だが、どうしても他人事とは思えない。私が生まれる前に作られた作品なのに、時が進むにつれそのrelavancy (関連性)はますます強まっていくばかりだ。
マザコンな私は、何か不安なことがあると「お母さーん」と呪文のように唱える。緊張する会議の前にも「お母さーん」と心の中で助けを求める。作品中の少年少女も「お父さん、お母さん」と泣き叫ぶ。
ああお母さんに会いたい。