10代の頃はいつまでもいつまでも鏡を見て過ごしていられた
自分を魅力的だと思っていたし、さらに魅力的になるにはと鏡を覗き込んだ
鏡を通して見ていたものは自分であり、同時に自分ではない何かだったのだろう
手鏡でなくてはならない
自分が1番魅力的に見える角度があり
その角度に手鏡を調整し自分を見つめた
見たくないもの いらない要素は見えないように
それは近視眼的で
自分との対話をする時間でもあり
自分という鏡面を通して
どこかにいってしまうことでもあった
なぜか安心した
広大なこの草原で
未開拓な場所があるこの地球で
進んでも進んでも終わりのない あるいは終われば飲み込まれてしまうこの宇宙で
10cm先に映る自分は自分であり
肉体と精神を持ち
この意識と呼べるものが入っており動いている
それは産み落とされたこの世で唯一の
しがみつくことのできるもの
大人になった私は
鏡を十分に見ていない
お気に入りの角度で
自分をもう一度見つめるといい