犬の耳の裏のにおい

絵日記#こんコロ5月18日「耳の裏のにおい」
絵日記#こんコロ5月18日「耳の裏のにおい」
絵日記#こんコロ5月18日「耳の裏のにおい」

新聞の記事で「動物園のにおいがきついのでなんとかして欲しい」という苦情に対して、その動物園の園長さんがブログで「消臭剤や芳香スプレーにあふれる現代では、ネットで動物の画像を検索して楽しめば良いのかもしれない。でもにおいは動物にとって大切なコミュニケーション方法で、『嗅ぐ』ことも楽しんで欲しい」と回答をしていた。

実家にいる犬に会いたくて、毎日のように写真を見てはニヤニヤしているのだが、やっぱりにおいはどうにもならない。あのなんとも言葉では説明できない、耳の裏の匂いを、肉球の匂いを肺いっぱい嗅ぎたい。今いる犬が、先代の犬と同じ匂いを発していると気づいた時は、感動したなあ。

相方のひげの匂いも好きだ。くんくん嗅ぐと、臭いのかと心配されるがそんな事はない。どこか動物的で、ほっとするにおいだ。
本屋のにおもたまらなく好きだ。あのにおいでワクワクする。
おばあちゃん家のにおいも好きだ。タンスにごんのにおいと煮物が混ざったような。こんなに安心感をもたらすにおいはない。父が子供の頃から、私が子供の頃からずっと変わらないにおい。
病院のにおいも好きだ。うちでは作り出せない神聖な、手を触れてはならないような感覚がある。
そして雨のにおい。世界のどこに行っても同じ雨のにおいだったな。

ふと何かのにおいに気づいて、具体的ではないけれど過去の実際起こったのか、起こらなかったのか、そんな場面を想起させられることがある。胸が締め付けられるような、どんなに手を伸ばしても帰ってこない、あの時間の感覚を少しだけ取り戻す。