わかっていた
今日はロブが部署の全体ミーティングを開催する最後の日
通常の報告が終わった後
ロブにバトンが渡された

彼は泣いていた

オンラインミーティングで
誰も何も発言しない
サイレンスがあれば
誰かがミュートにしたまま発言していたり
テクニカルな問題が発生したのかと思うのだけど

今日はみな知っていた
ロブが泣いていると知っていた
その静寂をみなが受け入れた

通訳をしていた私も静かに泣いた
ロブの感情が私を憑依したかのように
自然と涙が溢れた

私はロブを知らない実際会ったことがない
でもその時私とロブは一体化した

みんなありがとう
泣いていた
私も泣いていた

柱に蜘蛛がいる
2匹いる

1匹は全長1.5センチほどで
がっちりした体格
黒々として艶さえある

力強く進む
意思を持って進む
時折前にある足を口に持っていく仕草をしている
なにか食べながら前を進んでいるかのようだ

さっきから私と目が合う
こんなにも小さい生き物なのに
目を逸らすことなく対峙されると心が
少しドキリとする

もう1匹は
さっきから全く動かない
全長1センチに満たない小さな蜘蛛だ

じっと見ていると回転した
時計回りに回転した
もうどちらが頭でどちらがおしりか
わからない

奇妙だ

それでもなお
夜中に目覚めトイレに行かなければならない
できれば避けたい事象だ

何が嫌だって
まず寝ぼけた頭で起き上がり
トイレに向かう
せっかくの継続した平和な眠りが
一時途絶える

電気をつける
これで脳が覚醒してしまうばかりか
見るはずのないものまで
見てしまう
気がする

しかし せっかくのあと数時間ある眠りを
クオリティを出来るだけ高くするため
決断を迫られる
早い方が良い

それでもやはり で
きれば避けたい事象だ